六曜とは?大安・仏滅の意味と気にする目安
六曜(ろくよう)は、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の六つを日に当てはめた暦注です。旧暦の月と日を足した数で決まるため、六日でひと回りします。カレンダーの日付の隅に小さく刷られている、あの文字のこと。吉凶の中身は、江戸期に何度も入れ替わりました。
旧暦の月と日を足して6で割った余りが、その日の六曜
計算は拍子抜けするほど単純です。旧暦の月の番号と、その日の旧暦の日にちを足す。6で割った余りが0なら大安、1なら赤口、2なら先勝、3なら友引、4なら先負、5なら仏滅。旧暦の日付を出すところまでは新月の時刻を計算していますが、そこから六曜を割り当てる段は足し算と割り算だけで片が付きます。天体の位置を持ち出す必要はないわけです。
だから朔日(ついたち)の六曜は、月の番号だけで決まります。旧暦の正月と七月の朔日は先勝、二月と八月は友引、と一つずつ送っていって、六月と十二月の朔日が赤口。閏月は前の月の番号を引き継ぐ決まりなので、閏月の朔日も、その前の月の朔日と同じ六曜になります。
新暦のカレンダーで追いかけると、順番どおりに進んでいた六曜が、月替わりの箇所で唐突に飛びます。旧暦の月が改まってリセットが入るからです。旧暦のひと月は二十九日か三十日。月が改まる日は、足す数が月末の日にちから朔日の1へ一気に戻ります。それでも6で割った余りが前の日と重なることはないので、大安が二日続くような並びは出てきません。
定義は計算ルールに載せています。旧暦を日本標準時で判定しているので、中国の農暦を基準にした暦とは一日ずれる年があり、六曜もそれに連動します。
起源ははっきりせず、名前も吉凶も入れ替わってきた
中国の六壬(りくじん)という時刻占いの系統から出た。そこまでは見当がつきます。ただ、その先が心もとない。諸葛亮が考案したという話、唐の李淳風の書物に大安・留連・速喜・赤口・将吉・空亡という並びが見えるという話。どちらも裏づける材料が残っていないのです。
国立国会図書館の『日本の暦』は、六曜が14世紀ごろに中国から伝わり、広く行われるようになったのは江戸の終わり、幕末以降だと書いています。伝来から普及まで、五百年近い間があいている勘定になります。
その間の変化が面白い。江戸中期の『万暦両面鑑』(1747年編)には今と同じ六つが並びますが、寛政年間の暦書には泰安・流連・則吉・赤口・周吉・虚亡と並んでいます。天保年間に、名前と順序がいまの形へ落ち着きました。
つまり先負は、寛政の暦書で「周吉」と呼ばれていた枠です。吉の字が入っていたものが、負ける日になった。仏滅のほうも、もとは「空亡」「虚亡」で、それが「物滅」へ転じ、最後に仏の字が当てられています。仏教の教えから出た言葉ではなく、音に引かれて字が寄ってきただけ。宗派によっては、六曜を用いない立場をはっきり示しているところもあります。
名前が変われば意味も変わる。六曜の吉凶は、そのくらいの足場の上に乗っています。
官暦から追い出された六曜が、お化け暦を経て戻ってきた
1872年(明治5年)の改暦で、政府は吉凶の暦注をまとめて官暦から外しました。六曜だけを名指しした布告があったわけではなく、よりどころのない迷信として暦注が丸ごと落とされた形です。以後の官暦に残ったのは、七曜や干支と、気象や天体の数値だけでした。
ところが、読み手の需要は消えません。旧暦と暦注を載せた暦が、非合法のまま出回ります。取り締まりをかわすために発行所を毎年移し、発行人は偽名を使う。この商売が「お化け暦」と呼ばれ、明治から大正にかけて全盛を迎えました。
1945年に暦書の発行が自由になると、六曜は堂々と刷られるようになります。いま手帳の隅で見かける大安や仏滅は、一度は公の暦から追い出された側の言葉なのです。
友引の「友」は、あとから当てられた字
婚礼と葬儀にいちばん食い込んでいるのが友引でしょう。ただ、この語の来歴は少しややこしい。
もとの名は「留連」あるいは「流連」で、指していたのは「共引」、つまり勝負のつかない引き分けの日でした。一方、陰陽道にはまったく別の「友引日」という暦注があり、その日に決まった方角へ事を行うと災いが友に及ぶ、という凶の扱いを受けていました。読みが同じ。名前が混ざり、六曜の側に友の字が居座ったというのが、いまのところ通りのよい説明です。
葬儀を避ける習わしは、この混同の先にあります。ただ実際の現場はもっと即物的で、友引を休業日にしている火葬場が各地にあるため、そもそも日程を組めない。通夜のほうは友引でも行われます。
では婚礼はどうか。友引が祝い事に向くという説明は、「友を引く」を「幸せをお裾分けする」と読み替えたものです。もとの意味が引き分けで、混同のもとになった友引日が凶の側だったことを思えば、後から付いた読みと見るのが自然でしょう。六曜は婚礼と葬祭の実務に深く入り込んでいて、仏滅の日に割引を用意する式場も珍しくありません。日柄が値段に跳ね返る仕組みが働いているうちは、この習慣はそう簡単には薄れないはずです。
用途で選ぶなら、時間帯まで決まっている枠がある
六つのうち、先勝と先負は名前がそのまま使い方になっています。先んずれば勝つから先勝は午前が吉、先んずれば負けるから先負は午後に回すほうがよい。赤口は正午前後だけが吉で、その前後を避ける枠。大安は一日を通して障りのない日、仏滅は全日が凶、という割り振りです。
契約や届け出に大安が選ばれるのは、時間帯を気にしなくて済むからという面もあります。受付の時間に間に合えばそれで済む。この手の実務では、六曜より曜日のほうがよほど効いてきます。平日か休日か、連休につながるか。曜日そのものの来歴は七曜の記事に書きました。
季節の区切りで作業を控える話は土用にまとめました。日付そのものを選びたいなら、一粒万倍日のような選日のほうが六曜より細かい手がかりになります。
気にするなら、よかったときだけ気にすればいい
六曜は気にすべきか。当サイトの答えは「ほどほどに」です。
月替わりで並びが飛ぶ話をしましたが、一年分を数え上げてしまえば、六つはどれもほぼ同じ日数だけ顔を出します。年におよそ六分の一ずつ。仏滅の多い年も大安の多い年もありますが、その差は数日に収まります。一年の六分の一が不運で、別の六分の一が幸運。そんな配分で日々が割り振られているとは、なかなか考えにくいところです。
かといって、丸ごと捨てるのも惜しい。大安に始めたことが上手くいったなら、その符合は気持ちよく覚えておけばいい。仏滅にしくじったときは、暦のせいにせず忘れてしまう。いいとこ取りで構わないと思います。願掛けというのは、もともとそういう都合のよさで持つものでしょう。
分かれ目になるのは、自分ひとりで完結する話か、人を招く話か。結婚式や法事のように誰かに時間を空けてもらう行事では、招かれる側が日柄をどう受け取るかが現実の問題になります。親族に一人でも気にする人がいれば、説き伏せるより日をずらすほうが早い。これは占いではなく段取りの話です。
日付そのものを選ぶ手がかりが欲しいなら、年ごとに並びの変わる選日のほうが具体的でしょう。暦・開運日カレンダーから月別のカレンダーをたどれば、六曜と選日を同じ表で見比べられます。選日ごとの一覧にも六曜の列を並べています。方位まで含めて日取りを決めたいなら、まずは本命星の計算ツールで自分の星を出すところから。
六曜の順番は?
先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の順に巡ります。ただし旧暦の月が替わると並びがリセットされるため、新暦のカレンダーでは月の途中で飛ぶ箇所が出てきます。
仏滅に結婚式を挙げてもいい?
差し支えないでしょう。仏滅は「物滅」と書かれていた時期があり、仏教とのつながりも薄いものです。式場によっては割引の対象になります。招く相手が日柄を気にするかどうかだけ、先に確かめておくと安心です。
友引に葬儀はできない?
友引そのものに禁じる決まりはなく、営んでも構いません。ただし火葬場の休業日と重なりやすいので、実際には日程のほうで詰まります。空きを問い合わせるのが先でしょう。
六曜は仏教の暦?
いいえ、中国の時刻占いの系統から出たもので、仏教とは別の流れです。仏滅の「仏」は、空亡から物滅へ移ったあとに当てられた字にすぎません。