土用とは?年4回ある季節の変わり目と過ごし方

土用は、立春・立夏・立秋・立冬それぞれの直前に置かれた18日ほどの期間です。年に4回あり、うなぎで知られているのはそのうち夏の土用だけ。昔から、土を掘り返すような作業を控える期間として扱われてきました。

五行で季節を割り振ったときに余った「土」の置き場所

木・火・土・金・水の五つで世界を説明する考え方を、四季に当てはめる。春に木、夏に火、秋に金、冬に水を配ると、土がひとつ余ります。そこで土は、季節から季節へ移り変わる継ぎ目に置かれました。これが土用です。

暦の上では、太陽の黄経が297度・27度・117度・207度になる日を土用の入りとし、次の節の前日までが土用にあたります。冬・春・夏・秋の順で、それぞれ次の節の18度手前が起点になるので、長さはおおむね18日。計算の根拠は計算ルールに書いています。

4回合わせると、年間でおよそ73日。1年の2割が土用という計算になります。5日に1日は土用なのだと考えれば、「土用だから何もしない」という構えは現実的とは言えないでしょう。

季節から季節への継ぎ目に、18日分の幅が用意されている。この幅を見ていると、土用は忌み日の塊というより緩衝帯に近いものに思えてきます。季節は線では切り替わらない、ということでしょう。暑さが残る立秋、寒さが緩まない立春。体感が暦にひと呼吸遅れてついてくるのは、毎年のことです。衣替えや寝具の入れ替え、起きる時間の微調整をこの18日に割り当てる。使い道としては、こちらのほうが日常に効きます。

その年の入りと明けの日付は、暦・開運日カレンダーの年別カレンダーで確認できます。

夏の土用にうなぎが残ったのは、食べ方より売り方の話

奈良時代の歌集『万葉集』に、夏やせにはうなぎがよいと人に勧める歌が載っています。夏場のうなぎを滋養と結びつける発想は、それだけ古いということ。

一方、「土用の丑の日」という言い方が広まったのは江戸時代とみられます。丑の日に「う」のつくものを食べるという習わしに、うなぎを乗せた売り方が当たったという話が有名ですが、はっきりした記録は残っていないようです。由来がどこまで確かかはさておき、夏の入口に精のつくものを食べる区切りとして根づいた、と見るのが無理のないところでしょう。

夏の土用は18日ほどありますから、十二支が一巡りと半分。丑の日は1回のこともあれば、2回まわってくることもあります。2回目は「二の丑」と呼ばれます。

うなぎのほかにも、夏の土用から生まれた言葉が暮らしに残っています。梅雨が明けたこの時期に梅や衣類、書物を干すのが「土用干し」。穏やかな晴天の日に太平洋側へ届く高いうねりを「土用波」と呼びます。遠くの台風が送ってくるうねりで、海が凪いで見える日ほど油断できません。どちらも、土用を吉凶ではなく季節の目印として使ってきた名残です。

控えるとされたのは、土を掘り返す側の作業

土用に土を動かすことを避けるのは、この期間は土を司る「土公神(どくじん)」が地上にいるから、という言い伝えによります。具体的に名指しされてきたのは、穴を掘る、基礎を据える、井戸を掘る、壁を塗る、柱を立てる、といった作業です。いずれも地面に手を入れる仕事ばかり。

古い暦注では、これに加えて、虫を払う、木を伐るといった作業も慎むものとされました。土の気が盛んになる期間は、地面とそこに生きるものを乱さない。土を犯す作業の禁忌と一続きの発想だったことがうかがえます。

そこから広がって、引っ越し、開業、転職、結婚のように「新しく始めること」全般を避ける話も見かけます。ただ、元の言い伝えは土に触れる作業に的を絞ったものでした。土から離れるほど、後から足された部分だと考えておくと整理がつきます。

暦注のほうにも土用は顔を出します。たとえば母倉日の一覧を見ると、当たる十二支は節月ごとに入れ替わり、土用を含む節月では巳と午の日が該当します。避ける日を探すなら不成就日の一覧のほうが日数は絞りやすいでしょう。

土を動かしてよいとされる日を置く流派もあるが、当サイトは採用しない

土用のうち、土を動かしてもさしつかえないとされる日を「間日(まび)」と呼ぶ流派があります。土の神が天に上がって地上を離れる日、という説明が添えられます。

ただし土を動かしてよい日の決め方は流派によって違い、元の資料までたどれません。そのため当サイトは間日を採用しておらず、日付の判定にも入れていません。採否は計算ルールのページにまとめてあります。

気にしすぎると、暮らしのほうが先に止まる

春の土用は立夏の直前ですから、大型連休のほとんどがその中に入ります。毎年あれだけの人数が移動して、春の土用を理由にした大事故が続いているかというと、そういう話は聞きません。旅行に出たから悪いことが起きる、という筋ではないわけです。

建築の現場では事情が変わります。着工の日取りを土用の外に合わせる会社はありますし、施主から希望が出ることもある。記録に残る節目であれば、そろえておくに越したことはないでしょう。

ただ、選べない場面まで我慢に回すのは筋が違います。トイレが壊れたまま2週間を過ごす。猛暑のさなかにエアコンが止まったまま土用明けを待つ。どちらも生活がもちません。暦は日々を気持ちよく過ごすための道具ですから、道具のほうに暮らしを合わせにいくと本末転倒になります。

線を引くなら、日付を自分で選べるかどうか。庭木の植え替えや家庭菜園のように選べる用事は土用明けに寄せ、選べない用事はそのまま進める。それで十分だと考えています。

方位には「土用殺」という別枠がある

土用の期間だけ立つ凶方位を「土用殺」と呼び、当サイトはこれを採る立場です。季節ごとに一方位が当たり、どの季節にどこが立つかは計算ルールに載せています。ただし方位盤は年と月の星の配置を描くものなので、盤にも吉方位の判定にも土用殺は含めていません。

方位の吉凶は、生まれた年で決まる本命星ごとに変わります。引っ越しや旅行の方位が気になるなら、まず自分の本命星を調べるところからです。吉方位のページでは、年盤と月盤の両方で吉になる方位を出しています。

本命星を調べる生年月日から本命星・月命星を計算(立春基準)

土用はいつ?

立春・立夏・立秋・立冬それぞれの直前、18日ほどの期間です。年に4回あります。その年の入りと明けは年別カレンダーに載せています。

土用に引っ越してもいい?

土を動かす作業を控える言い伝えが元なので、引っ越しそのものは範囲の外という見方もできます。気になるなら、日取りを選べる場合だけ土用明けに寄せ、選べないならそのまま進めてよいでしょう。

庭いじりはできる?

土を動かす作業を控えるという言い伝えの範囲に入ります。日を選べるなら土用明けに寄せると迷いません。土用のうちにも土を動かしてよいとされる日(間日)を置く流派がありますが、当サイトは採用していません(理由は本文に書いています)。

土用の丑の日にうなぎを食べないとだめ?

食べなければいけないという決まりはありません。夏の入口の区切りとして楽しむ程度がちょうどよさそうです。値の張る時期でもあるので、二の丑まで待つ手もあります。